SCALE-RM は SCALEライブラリを利用した領域大気モデルである。

簡単な説明

フレームワーク

  • 距離座標に基づいた三次元カーテシアン格子系
  • MPI 通信を用いた二次元領域分割
  • 各種地図投影法
  • ネスティングシステム(1 way:親領域 → 子領域)
    • オンライン実行 (複数ドメインの計算を同時に実行)
    • オフライン実行 (外側ドメインの計算終了後に、その結果を用いて内側ドメインの計算を行う)
  • 複数事例一括実行 システム(バルクジョブシステム)
  • CF 規約に基づく netCDF ファイル I/O
    • netCDF3 または netCDF4 形式
  • 理想実験のための初期値データ生成
  • 外部データ読み込みによる標高・土地利用区分データの変換作成
  • 外部データ読み込みによる初期値・境界値データ変換作成
    • WRF-ARW、GrADS フォーマットでの入力に対応

力学コア

  • 格子システム : Arakawa-Cグリッド
  • 方程式系: 3 次元完全圧縮非静力学方程式系
  • 数値解法: 陽解法と陰解法の両方を実装
    • 水平陽解法-鉛直陽解法
    • 水平陽解法-鉛直陰解法
  • 空間微分: フラックス形式
    • 2 次中央差分
    • 4 次中央差分
    • 6 次中央差分
    • 3 次風上差分
    • 5 次風上差分
  • 時間差分:(詳細は、Team SCALE (2017) を参照のこと)
    • Heun 型 3 次ルンゲクッタスキーム
    • Wicker and Skamarock (2002) の 3 段ルンゲクッタスキーム
    • 4 次ルンゲクッタスキーム
  • 非負保証:
    • フラックス修正法 (Flux Corrected Transport, FCT; Zalesak, 1979)
    • Koren (1993) フィルター (3 次風上差分スキーム使用時のみ)
  • 数値フィルター: 4 次超粘性・拡散
  • 地形: 地形に沿った座標系

物理過程

  • 乱流過程: 複数から選択可能
    • Smagorinsky (1963) & Lilly (1962) 型のサブグリッドモデル (Brown et al. (1994) と Scotti et al. (1993) による補正)
    • Deardorff (1980) サブグリッドモデル
    • Mellor and Yamada (1982); Nakanishi and Niino (2004,2009) による MYNN2.5 境界層モデル
  • 雲微物理: 複数から選択可能
    • Kessler (1969) による 3-class 1 モーメントバルクモデル
    • Tomita (2008) による 6-class 1 モーメントバルクモデル
    • Seiki and Nakajima (2014) による 6-class 2 モーメントバルクモデル
    • Suzuki et al. (2010) によるビン法モデル
  • 放射過程
    • Sekiguchi and Nakajima (2008) による相関 k 分布法ブロードバンド大気放射伝達モデル
  • 地表面モデル
    • バルク交換係数 (陸面および海面): Beljaars and Holtslag (1991); Wilson (2001); Nishizawa and Kitamura (2018) による 普遍関数によるバルク法
    • Uno et al. (1995) による Louis 型バルク法
  • 陸面モデル: 熱拡散・バケツモデル
  • 海洋モデル: 初期値固定・外部データ入力・スラブモデル
  • 都市モデル: Kusaka et al. (2001) による単層キャノピーモデル

ドキュメント

SCALE-RM のモデル解説書は SCALE ドキュメントページ